夏期講習を終えて

夏休み明けの学校が始まってから、初めて迎えた土曜日の朝。

『ママ!!!8時だよ!!!塾に行かないと!!』と大慌てで飛び起きてきた、ぼってり顔の息子。

キッチンで朝食の目玉焼きを焼いている、寝ぐせ姿の母。

そんな私の姿を見て

『・・・あ。そうか、夏期講習おわったんだった・・。』 と、こっぱずかしそうにする、

相変わらずむくんだままの息子。

火がまだ通らない半熟卵に水を注ぎ入れながら 私はふと思った。

4年生で入塾し、本人は嫌だ。と言っても、塾をやめるという選択肢すら与えてもらえぬ小さな背中に

背負わされる大きな期待。そんなものに必死に抗いながら迎えた2024年度の夏期講習。

本当は、もっとプールに行きたかっただろう。

本当は、もっと虫捕りをしたかっただろう。

本当は、大好きな釣りにも行きたかっただろう。

そんな彼の興味や好きの『もっと』を我慢して

来る日も来る日も 前期後期で約20日間。

午前の部では、9時からー12時まで

午後の部では5時からー9時まで

よく毎日毎日頑張ってきたなぁと。

『なに、寝ぼけた事いってるの~!目玉焼きできたよ!早く食べちゃいなさい。』と

朝を急かす日常の様に、”息子の勘違いの朝”は流れていった。

けれど、ふと振り返ると そこには力強く、踏みしめられた頑張りの足跡が見えた気がした。

今は好きなことを『もっと』したい。その欲求をすぐには叶えてあげることが難しいけれど

その好きを『もっと』好きになれるよう、探求心を掘り下げながら

中学受験というものを通し親子二人三脚で、息子の好きの幅をもっと広げてあげたいと、

すこし焦げてしまった目玉焼きの焦げを箸でよけながら、

思う朝なのであった。

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